目が見えない弁護士の講演会

爆弾級の感動と驚きに襲われました。

お世話になっている経営者に誘っていただき、
大胡田誠(オオゴダマコト)弁護士の講演を聞きにいきました。

俳優の松坂桃李さん主演のドラマ
全盲の僕が弁護士になった理由」のモデルになった方です。

小柄でニコニコされており、
話し方も優しく言葉選びがすごく丁寧で
とても温かい方でした。

先天性緑内障で12歳には完全に視力を失いますが
ある本との出会いが弁護士になる道を決定付けます。

日本で2人目となる全盲の弁護士さんの本でした。

「誰かに支えられる人生から、誰かを支える人生になれるんだ」
そう思ったと言います。

しかし司法試験は非常に難しい。
そもそも参考書は点字がなく、あらゆる勉強をまずは点字
翻訳しなければなりません。

4回目の試験に落ちた時
「もうダメだ。これからどうしたら良いかわからない」
と初めてお母さんに相談します。

「心が温かいと思う方へ進みなさい」と
お母さんから言われ、今でも迷った際は
そう考えるようにしているそうです。

5回目で合格し弁護士になられますが、
最初は苦労の連続です。

そもそも弁護士に依頼してくる人は
「絶体絶命」になっている人がほとんど。

目が見えない弁護士では全く信用されず
「目の見える人に変えてほしい」と
何度も言われてしまい
悩み、自信を無くしてしまいます。

しかし
「人間関係は鏡写し」だと気付かれます。

信用して欲しければ
まずは自分が相手を信用しよう。
そう心にとめて、今では弁護士になって
16年目を迎えられています。

ご結婚もされており、奥様も全盲
2人のお子さんは全盲ではありません。

今は大きくなっていますが
赤ちゃんの時は、口の場所がわからないので
離乳食を上手く食べさせてあげることすらできなかった。

しかし次第に赤ちゃんも学んできて、
スプーンで差し出された離乳食に、
自ら口を運んでくるようになったそうです。

「見えないからこそ見えた幸せ」

自分たちの目が見えないからこそ、
子供達がたくましく育っているんだ、と。



「人生は長い目で見ればプラマイ0」

ある連続窃盗犯を弁護した際のエピソードと
共に、この言葉を最後におっしゃられました。

犯人は仕事に就くことができず、
生活費を捻出するために盗みをしていました。

もちろん有罪になり、刑務所に収監されます。

ある日彼から手紙が届き、こう書いてありました。

「親身にお話を聞いてくださり、先生には
本当にお世話になりました。
出所してからは先生のお役に立ちたいので
点字の勉強を始めました」

その手紙が本当に嬉しく、
大変なことの多い人生だったが、弁護士になることを諦めなくて本当に良かったと言われていました。

振り子のように、大きく引けば引くほど
離した時にはその分大きく振れる。

そのようにたくさんの壁を乗り越え、魅力溢れる大胡田弁護士。

彼から1秒も目を離すことができなかった夜でした。